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公文書問題と統治機構改革

 公文書をめぐる不祥事が相次いでいる。森友学園への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書き換え問題。加計学園の獣医学部新設をめぐる存在を否定した文書が文部科学省で発見された問題。防衛省では南スーダン国連平和維持活動の廃棄した日報が発見された問題、04年の陸上・航空自衛隊のイラク派遣部隊の日報が発見された問題。また厚生労働省では裁量労働制をめぐる不適切なデーターを政権側に都合よく使った問題が見つかり撤回に追い込まれた。繰り返される公文書の不祥事は何故起きたのであろうか、政界に限らず論壇でも様々な議論が展開されつつある。
 例えば、14年に内閣人事局を発足させて官邸が霞が関の幹部人事を握り政治主導を進めてきた。そこから「安倍一強」の忖度政治が蔓延したとする指摘だ。だが従来の縦割り行政の欠陥を是正し、首相のリーダーシップと内閣の方針のもとに「政治主導」の枠組みを作る必要性は絶えず指摘されてきた。90年代の橋本内閣で中央省庁再編など大規模な行革が実施されて以来、首相主導の政治システムは、民主党政権を含め、歴代政権の課題だった。官邸の予算・人事機能の強化は、予算編成の基本方針作りを進める「経済財政諮問会議」、各省庁人事を統括する「内閣人事局」として数年かけて実現されて行く。そして行政の縦割りの解消やスリム化では一定の成果をあげ、官僚主導を政治主導に変える目的もある程度前進したとする肯定的な見方が多い。
 公文書書き換え問題や隠蔽問題については、中央省庁の再々編案(日経新聞4月7日掲載)や公文書の電子化、さらに統治機構を外部からチェックする独立機関の設置案など提言がなされており、今後も議論が進むものと思われる。
 だが度重なる不祥事の背景に、強すぎる首相や官邸権限があるとすれば、統治の仕組み全体の検討が必要と思われる。例えば、首相の権力集中に使われる解散権の議論、平成の改革で積み残した参院改革を含む統治機構改革などだ。首相の解散権は唯一首相だけが行使できる「伝家の宝刀」と言われ、安倍首相は権力維持の手段として、すでに2度もその宝刀を抜いた。憲法7条を首相の自由な解散権の根拠とし衆院任期を半分以上残した14年の解散、臨時国会召集を逆手に取った17年の冒頭解散だ。日本と同じ議院内閣制のイギリスでは2011年に「議会固定法」が成立し議員の3分の2が賛成、又は政権への不信任案が可決された場合以外は解散が禁じられた。「安倍一強」の実現は首相の解散権行使の影響が大きいことは明らかで、憲法改正を含めその制約手段の検討が欠かせない。
 衆院や行政や司法など平成の諸改革が行われたが、唯一手が付けられず取り残された参院改革も必要だ。自民党の憲法改正案では参院の合区解消が焦点とされているが、国民代表機能を並立して持つ院が二つ存在する国は世界で見られない。2院制の在り方の根本論議の必要性が叫ばれながら政治日程に上ったことはない。こうした政治機構の在り方を問う大がかりな議論の中で「政と官の在り方」の議論の展開が必要だと思われる。いくつかの憲法改正課題の中でも統治機構問題こそ優先されて議論すべきではないか。公文書問題をめぐる忖度政治は、内閣人事局の問題にとどめる課題ではなくトータルな統治機構改革の中で議論して欲しいものである。
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