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欧米政治の異変に思う

 欧州議会選挙(EU)でEU支持派が過半数を維持したがポピュリズム勢力が勢いを増す一方、これまでの政権を担ってきた政党が軒並み試練に立たされ欧州政治の異変は収まりそうにない。イギリスでは長年にわたって政権を競い合ってきた保守党、労働党の二大政党がEU離脱を掲げる「ブレグジット党」に押され支持率トップの座を奪われている。ドイツではこれも長年政権を競い合ったきたCDU(キリスト教民主同盟)とSPD(社会民主党)に対し反移民・反EUの「ドイツのための選択肢(AID)」の台頭が著しい。フランスではルペン党首率いる極右の「国民連合」がマクロン氏の与党に拮抗している。イタリアでも連立政権を樹立した極右と極左の「五つ星運動」がトップの座を占めた。スペインなど他の欧州諸国でも同様な現象が起っており、これまで長年政権を担ったきた既成政党は困難な局面に遭遇していることが今度の選挙を通じて鮮明になった。そして大統領選の前哨戦が始まっているアメリカでもトランプ政権のアメリカンファースト政策や大型減税など大衆迎合的政策が進行する。対する民主党の大統領選の候補者選びはMMT理論(財政赤字容認の金融理論)などを叫び、共和党以上のポピュリズム的傾向を強めているのが現状だ。
 こうした欧米における左右両派によるポピュリズムの高まりは国際社会の大きな不安定要因となりつつある。かつて国際協調を無視し帝国主義の剥き出しの欲望が対立し閉鎖的なブロック経済政策が採られ、取返しのつかない大戦の引き金になった時代状況と重なる。各国の国内世論の対立と分断、そしてそれを克服し切れない政治の混乱は先行きに大きな不安を抱かせ、相互の理解、寛容を前提とした国際政治システムは困難に遭遇している。
 さて日本は世界でもっとも政治の安定した国の一つだとされるが言うまでもなく多くの課題も抱えている。日本の近代政治システムは明治初期の板垣退助等の民選議院設立建白書以来、絶えず欧米を範としながら議会制度を確立してきた。平成の政治改革でも欧米型の「政権交代可能な二大政党制」を目指す制度設計が行われてきた。しかしヨーロッパにおける二大政党制は揺らぎ、範とすべき政治システムの存在は危うくなっているのが現状だ。自民党一強と野党の混迷が続く日本政治だが、責任ある政策を提起し絶えざる改革に取り組まなければ、ポピュリズムの台頭を招き、たちまちにして政治の不安定化を招くことを欧米の政治状況は教えている。有権者がわがままを言ったり、無理なサービスを政治に求めたりすることが繰り返されれば民主政治は成り立たない。また憎悪や熱狂で課題は解決しないことは歴史の教訓だ。有権者、政治家双方がそのことを自覚して日本の政党政治の健全な発展を目指して欲しいものである。揺らぐ欧米政治を他山の石として自由と民主主義を基調とした政治的価値観や平和と人権を大切にする国として、国際社会において信頼され尊敬される国として存在感を示して行きたいものである。

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