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参院選を終えて

参院選が終わった。注目された与野党の議席数は自民、公明両党が安定多数を維持する結果に終わった。選挙中、社会保障政策など国政の幅広い分野にわたって論戦が繰り広げられた。だが参院は何のために存在するのか、衆院と異なるどんな役割が期待されているのか、そのためにどう改革するのか等々、問われている本質的な問題を訴える政党や候補者が見当たらなかったことは残念だった。昨年もこの欄で私見を述べたが、こうした点はこれまで繰り返し指摘されてきた。例えば「参院、真の改革へ待ったなし」で中北浩爾一橋大教授は参院が自己改革を怠れば有権者に見放される日は遠くない、と警告する(7/14信毎)。昨年の国会で、今回の選挙の合憲性を確保するため鳥取・島根、徳島・高知を合区するなどの一票格差是正のための公選法改正が行われた。この改正は定数の6増に加え特定枠導入など理念なき小手先対応として世の非難を浴びた。さらに先の国会では議員歳費を返上出来る法案を可決した。今後3年間に限り議員一人月額7万7千円を返納できる、これを定数増に伴う経費増に充当しようとするものだ。返納するかどうかは議員の自主的判断に委ねるという。その場凌ぎのあきれるばかりの対応である。国会議員の定数、選挙制度の仕組みは民主主義下の議会制度の基本中の基本だ。参院が二院制の趣旨に基づく改革を怠ってきたこれまでのツケが、理念なき一時凌ぎの法案に立ち至ったことは明らかだ。90年代の政治改革の際も、参院は他人事のように「我、関せず」で過ごし衆院の改革だけで終わった。だが一極集中傾向の人口動態からして今後もいくつかの合区が迫られる事態が想定され、現行の都道府県代表制の維持は困難になることが想定される。参院は制度発足当初から、地域の声を代表する都道府県単位の選挙区制度で「地方の府」として、合わせて全国単位の選挙制度で有識者や職能代表を選ぶ多様な民意を反映する「良識の府」としての機能が期待された。衆院のカーボンコピーの参院や「政局の府」の参院は不要だ。地方の府、良識の府として本来の機能を発揮するところに参院の存在価値がある。
 「地方の府」として参院を位置づけ、公職選挙法を改正し都道府県から議員を選出する選挙制度を実現することは憲法理念に反しない、とする見解は前出の中北論文はじめ多くの識者から論じられてきた。例えば自治省出身で福井県知事になった西川一誠氏は憲法制定時のGHQとのやり取りの立法経過、そして昭和58年、平成26年、28年の最高裁大法廷判決を引用し、憲法改正がなくも法律改正で都道府県代表制が可能と結論づけている(中央公論2018・5月号)。参院は、こうした見解も参考に自らの改革に躊躇なく取り組むべきである。今回の選挙は安倍政権の信任や消費増税の可否が問われた。だが参院改革を議論せず先送りが続くと、有権者から参院不要論、世界の多くの国で採用している一院制論が沸き起こるかも知れないことを心すべきと思われる。

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