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国会改革の必要性

 「桜国会」と呼ばれた臨時国会が閉幕した。日米貿易協定の承認などが主なテーマの国会だったはずだが、政治とカネをめぐる2閣僚の辞任や、大学入試の英語民間試験の導入見送りに続いて「桜を見る会」が焦点になり「桜国会」などと呼ばれた。招待客の基準が不明確で名簿も破棄したという節度を欠いた政府の対応は批判されて当然だ。政府側は野党の追及に納得の行く答弁が出来ず時間切れで何とか国会を乗り切ったという印象だ。
 国民目線からすると政権のいい加減さを質して欲しいという感情がある一方、スキャンダル追及重視に明け暮れる国会はこれで良いのだろうか、国の在り方や直面する課題の議論がお座なりになっているのではないか、という感想を抱いた国会だった。欧米の議会には見られない日本の議会運営の慣例がこうした事態をもたらしている要因とされる。読売新聞特別編集委員の橋本五郎氏は国会審議の形骸化の現状は議院内閣制の危機で国会改革の必要性を強調する(12月7日読売新聞)。そして悪しき慣例の一つの「与党の事前審査制」の廃止を主張する。政府提出の法案は与党によって事前に審査・承認され政府は与党の党議決定を経て閣議決定する。この段階で与党の法案審議は終わっており、後は法案をいかに通過させるかが残るだけになる。一方、野党にとっては国会こそが活躍の舞台だ。ところが国会論議で修正などを迫っても党議決定した与党が応じることはほとんどない。したがって野党が存在を際立たせるにはスキャンダル追及こそが格好の材料となる。こうした実態を打破し国会審議の活性化を図るため、平成の初期の頃から民間の有識者で作る「民間政治臨調」などから事前審査・承認慣行の廃止が提言されてきたが今もって実現していない。国会の在り方が問われるスキャンダル応酬の「桜国会」ではなかったか。
 もう一つは「会期不継続原則」だ。日本の国会は常会や臨時会が設定され閉会中審査の手続きをとったものを除き、会期不継続の原則により審議未了の案件は継続せず廃案になる。これが国会運営をスケジュール重視の駆け引きにしている要因だ。これまでは会期末などで野党が審議拒否や不信任案などで会期不継続の原則を抵抗手段に使うことが常態化していたが、今回は「桜を見る会」の追及を回避するため与党側が時間切れを狙った印象だ。いずれにしても「会期不継続の原則」が国民にはわかりにくい国対政治の温床になってきた。会期制の抜本改革は憲法改正が必要なため通常国会の延長などを通じて改善すべきと識者などから指摘されて久しい。こうした点に限らず、予算委員会や党首討論の在り方など「桜国会」は多くの改革の必要性を感じさせる国会だった。国会は機械的な議案の通過機関でなく「言論の府」である。与野党は国会審議の活性化、透明性など国会改革の課題について真剣に取り組んで欲しいものである。

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