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新冷戦時代の日本外交

 45年体制と言われる戦後世界秩序は、圧倒的な経済的、軍事的優位を背景にしたアメリカの主導によって維持されてきた。ブレトンウッズ体制(1944年の通貨金融の国際合意)のもとドルは基軸通貨として機能を果たし、市場経済と自由貿易体制が多くの国に繁栄と安定をもたらした。そしてソ連の崩壊により冷戦も終決し世界は平和と安定に向かうものと期待された。だが近年、アメリカの相対的地位が低下する一方、躍進目覚ましい中国の挑戦が目立ち国際秩序は不安定感を増している。覇権を競う米中新冷戦時代の始まりと言われる。
 中国は目覚ましい経済発展にも拘らず共産党一党体制を強化し内外で力による強行路線を貫いている。経済では社会主義市場経済体制を推し進め、市場支配力を拡大する。南シナ海では軍事力による国際法への挑戦を続ける。尖閣諸島でも日本領海への侵入を繰り返す。香港やウイグル自治区で自由や人権の抑圧が繰り返される。ニクソン大統領の訪中以来、アメリカ始め西側諸国が抱いてきた「経済が豊かになると民主主義体制に移行して行く」という希望的観測はどうやら幻想に終わりそうだ。さらに、生産拠点としての存在から膨大な人口を抱えた消費市場として存在感を増し、世界中の企業が中国市場を目指して凌ぎを削る。その巨大市場を背景に「戦狼外交」と呼ばれる力の外交を繰り返す。軍事力の強化にも力を注ぎ空母や核兵器に加え宇宙空間やサイバー分野でも軍事強国の道を歩む。こうした中国に対してアメリカはじめオーストラリア、カナダ、欧州各国などに警戒感が拡がりつつある。覇権を競う米中の争いはアメリカによるファーウェイ排除などデジタルを最前線として激しさを増す。
 世界には、環境問題や地球温暖化、そして感染症のワクチン供給など国際協力で解決しなければならない課題は山積している。対立と覇権争いから、大国同士が協調して共通の課題に取り組む世界秩序を作り出して欲しいものだが、期待に反して新冷戦は長引きそうである。
 日本としては、米国とは同盟を深め国際協調路線に引き戻すこと。そして最大の貿易相手国になった中国とは、民主、自由、、人権、など普遍的価値を重んじることこそ中国の利益であることを中国自身が認識できるような環境をねばり強く働きかけて行くこと、が外交の基本的立場になるのではないだろうか。長い道のりではあるが協調と平和の国際秩序形成に向けて日本の果たす役割は大きい。

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