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大戦の教訓とロシアの侵攻

 戦争の惨劇がまたも繰り返されている。これまで各国は第1次大戦後も第2次大戦後も戦争の惨禍を繰り返さない平和の誓いを行ってきた。4年余に及んだ第1次大戦は空前の戦死傷者を出しヨーロッパに破滅的な結果をもたらし1918年に終わる。翌年パリで講和会議が開かれる。多国間協調の国際機構として国際連盟を設立し、パリ不戦条約が締結される。締約国は国際紛争解決のため戦争に訴えることを放棄し平和的手段で解決することが合意された。だが1939年ドイツのポーランド侵攻を契機に第2次大戦に突入し不戦の誓いは、わずか20年で打ち破られる。5年余にわたる戦争の結果、またしても世界中で未曾有の戦死者が出る。この第2次大戦後、連合国は国連憲章を定め国際連合を設立する。大国に責任ある地位を与えなかったことなど国際連盟の失敗を総括し、常任理事国5大国の拒否権などを定めた。そして、すべての加盟国は、その国際関係において武力による威嚇又は武力の行使の禁止を国連憲章で謳った。日本国憲法9条1項はこの28年の不戦条約と45年の国連憲章を前提に作られたとされる。国連発足後も朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争などに加え、中東やアフガニスタンなどで紛争が繰り返された。だが各国の自重や国際協調の動き、抑止力なども働き、大規模な国家間の侵略戦争は回避されてきた。しかし、とうとう国家による露骨な侵略戦争が国連常任理事国ロシアによって引き起こされ、国連の存在価値が問われる事態になった。
 今回のロシアによるウクライナへの侵攻は専制政治の横暴で野蛮な体質を世界に見せつけた。プーチン体制は独裁者による独断政治で、極端な権力集中体制を取り政権内に抑制機能が全く働いていないことが明らかになった。そして専制政治の特徴である政府と異なる意見の表明や行動などについては、容赦のない逮捕、罰金刑などが適用される。またメデイアの徹底統制、SNSの監視に加え、偽情報を繰り返すことで世論操作を行い、国内の議論や批判を封じ込める。戦場では目を覆いたくなるような大量虐殺が繰り返される。
 G7各国を中心にロシア包囲網が進められているが、残念ながら事態は膠着し長期化されるというのが大方の予想だ。今後、戦争による世界経済への影響が浸透し、日常生活へ及ぶことも憂慮される。経済への不安から西側諸国にも国際協調よりも自国第1主義が強まることが危惧される。アメリカやヨーロッパの多くの国での選挙状況や政党支持率など世論調査を見ると一抹の不安を感ぜざるを得ない。西側諸国は専制政治の蛮行を許さず、平和を希求する揺るぎない体制を存続し、不安を杞憂に終わらせて欲しいものである。
日本は、今回ロシアが「特別軍事作戦」と称するように、かつて「満州事変」「支那事変」を正当化し大戦に至った歴史体験から、自由と人権、民主政はかけがえのない価値であることを学んできた。ロシアとは北の国境を接し北方領土の返還問題を抱える。近隣には専制政治の国家も存在する。自らの未来のためにも、国際社会とともに2度の大戦の教訓を生かし平和を守り抜く姿勢を貫きたいものである。


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