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ナショナリズムへの不安

 安倍首相が靖国神社を参拝した。もともと第1次安倍政権で靖国に参拝できなかったことに「痛恨の極み」と述べていたことから、強い個人的念願を果したと思われる。だが想定どおり中韓両国が強く反発したのみならず、同盟国アメリカをも「失望」させてしまった。戦没者をどう追悼するかについて、他国から干渉されるべきものではない、とする主張もある。また最近の中韓両国の歴史認識問題を外交に執拗に絡めるやり方は、異常とも言える面があるのも事実だ。
 それでも戦没者を悼む場所として靖国が適当でふさわしいか、という問題は存在する。神社側が、東京裁判で「A級戦犯」とされた14人を昭和殉難者として1978年になって合祀したことが発端である。昭和天皇は不快感を持ったとされ、75年以降、天皇陛下の参拝は実現していない。また勝者の断罪だとして、東京裁判を否定する史観を主張する人々が存在するのも事実だ。だが、すべての人が戦没者の冥福と平和を心から祈念する場所として適切かどうか。福田元官房長官の私的諮問機関が提起した無宗教の国立追悼施設の建立、野中広務元官房長官や古賀誠日本遺族会会長が提起したA級戦犯の分祀論などを真剣に検討すべきではないか。
 折角、アベノミクスが市場に好感を持たれデフレ脱却に期待が持たれている今日、国論を2分する行為はプラスに作用はしないことは明らかだ。それよりも懸念されるのはナショナリズムの高揚だ。日本国民は近年の中韓両国の領土問題など反日の動きに大きな不満や怒りを抱いている。中韓両国で反日の動きがさらに加速し、日本も反応するというナショナリズムの連鎖は危険だ。高い支持率を維持し、景気回復など成果を上げつつある安倍政権に一抹の不安を感じるのは、愛国心を過度に強調する政治姿勢だ。
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